東大病院小児集中治療室 PICU

肺動脈狭窄症

肺動脈狭窄症とは

全先天性心疾患の約10%近くを占める比較的多い疾患です。肺動脈の狭窄の程度により症状や経過は異なります。肺動脈(弁)が完全に閉鎖しているもので心室中隔欠損がないものを「純型肺動脈閉鎖」とよびますが、これは通常別の疾患として扱います。

肺動脈が狭くなる場所としては、1)肺動脈弁の上部(主肺動脈)、2)肺動脈弁、3)肺動脈弁の下(漏斗(ロウト)部)、4)末梢の肺動脈、そして、これら4つの組み合わせがあります。

血液の循環

全身から帰ってきた青い血液は、右房から右室、肺動脈へと流れていきますが、肺動脈狭窄のために血液が流れにくくなり、右室に負担がかかります(右室圧が高くなる)。そのため、狭窄が中等度から高度の場合には次第に右心不全(右室の心不全)が進行していきます。

治療・手術

肺動脈狭窄が軽度の場合は、治療を必要とせず、経過観察のみでよいこともあります。

狭窄が中等度から重度の場合には狭窄をひろげる治療が必要となります。治療としては、1)カテーテルによる治療、2)手術による治療の二つがあります。

カテーテルによる治療では、右房、右室から肺動脈へカテーテルを通して肺動脈(弁)の狭い部分でバルーン(風船)を広げて狭い部分を広げるという治療を行います。狭窄の場所や形態によっては、手術でしか治療できない場合もあります。手術の方法は、肺動脈の狭い部分によって異なりますが、1)肺動脈弁交連切開術(肺動脈弁どうしがくっついて狭くなっている部分を切開して広げる手術)、2)肺動脈形成術などが行われます。

カテーテルによる治療の場合も、手術による治療の場合も、狭窄がすこし残ることがあります。ただし、狭窄を完全に解除しようとすると肺動脈弁の「逆流」がおこってしまうこともあるので、狭窄の軽減と肺動脈弁の逆流のふたつを天秤にかけて治療を行います。

長期的な予後

肺動脈狭窄症の手術後の予後は一般的に非常に良好です。多くの場合、ほかの子どもたちと同様に生活していけると考えられます。ただし、残存する肺動脈の狭窄の程度によっては多少の運動制限が必要となる場合もあります。

「退院後の生活について」にも記してありますが、少なくともこどもさんがひとり立ちするまでは、1~2年おきの外来通院を行い、変化がないかどうかを外来で経過観察することが理想です。

こどもの心臓疾患は、治療に際してその血行動態の特殊性から高い専門知識と診断・治療技術が要求されます。国立大学でははじめての小児専門の集中治療室として誕生した当院のPICUでは、小児科と心臓外科の連携により、こどもの心臓疾患に対する迅速かつ適切な治療が可能となりました。また、手術に際しても、麻酔科の先生方との協力体制も非常に良好に整っています。

東大病院では、年間約200例の先天性心疾患に対するカテーテル検査・治療および、年間約160例の先天性心疾患に対する手術を行い、良好な成績を得ています。特に、新生児に対する治療・手術が多いのが特徴となっています。

このホームページは、PICUで最も入室することが多い心臓病のこどもたちについて、心臓病のお子様をもつご家族の方の立場に立ってできるだけわかりやすく解説すること、そして東大病院PICUについておわかりいただくことを主な目的として作られました。まだ不十分な部分も多いと思いますが、これからも拡充していく予定です。よろしくお願いいたします。

ページ上部戻る